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【実録】JRAに就職しようとして最終面接で散った話

「競馬でお金を増やしたい!」

競馬をやっている人の99%は、この願望を持って馬券を買っていると思いますが、その中で本当にお金を増やせている人は5%にも満たないでしょう。
今から2年前、当時就活生だった私も95%側の人間でした。

一時の快感と引き換えに、ジワジワと減っていくお金。
「どうすれば競馬で勝ち組になれるのかなぁ」暇さえあればそんなことばかり考えていたある日、天啓ともいえる閃きが私の脳内を駆け巡りました。

ひょっとして、JRAに入ればいいんじゃね?

皆さんもご存じの通り、JRA(日本中央競馬会)は超がつくほどの優良ホワイト企業です。
国がバックにいるという意味では国家公務員に近い立場にも思えますが、その給与は国家公務員それを遥かに凌駕し、職員の年収は平均で約860万円、ラスパイレス指数は140もあります。
それもそのはず、JRAの財務諸表を見ると、同会の事業収益(馬券での収入とか競馬場の入場料とかです)は2兆7871億、最終的な純利益は593億円。同様の純利益帯だと、味の素や明治製菓などがありますが、これらの企業は子会社とか含めると15000人とか30000人とか働いてますからね。対してJRAの職員数は約1700人。えぐいですね。

そんなJRAにもし入ることが出来れば、競馬でお金を失う側から搾取する側へ華麗なジョブチェンジを決めることが出来るわけです。(しかも副産物?として健康的に馬券をやめることができます


まあとはいえ全体で1700人しか働いていないってことは、それだけ採用人数も少ないわけです。
僕が受験した事務系総合職は毎年30人前後の採用だったと記憶してますが、これだけの大金を動かしている企業(正確には特殊法人)としては、かなり少ないと言っていいでしょう。
ちなみにですが、JRAの職員は圧倒的に男性が多い(馬に近い「現場」で働いているのはほぼ男性ですからね)ので、その男女比を改善すべく最近は女性を多く採る傾向があります。
これから就活を迎えるUMAJOの皆さんは、ぜひ受けてみてはいかがでしょうか。

さあ例によって前置きが長くなりましたが、以下、私が実際にJRAの採用試験を受けた時のレポっす。


OB訪問

やるからには受かりたい、ということでまずはOB訪問をば。知り合いの知り合いにたまたまJRAで働いている人がいたので、連絡先を教えてもらいOB訪問を申し込むと、二つ返事で快諾してくれました。この時点で恨みしかなかったJRAへの評価が反転しましたね(単純)

それから2週間後、「ランチでも食べながらお話を」ということで阪急梅田駅の地下で待ち合わせ。一応事前にJRAのHPで顔写真は見ていたのですが、「写真と全然違う人が来たらどうしよう」と不安でいっぱいでした。(マッチングアプリか)
そんなしょうもないことを考えていた私に「ひょっとして輪切りさんですか?」と声をかけてきた男性が!写真通りの、いや写真以上のイケメン登場です!(マッチングアプリか)
以下、この職員さんの名前を、、、そうですね仮に「オジュウチョウ」とします。

入会5年目、一度の転勤を経て現在は関西のWINSで働くオジュウチョウさん(出オチ)
非常に物腰が柔らかい方で、私の拙い質問に対しても一つ一つ丁寧に答えてくれました。
今になって自分の就活を振り返ってみたとき、いろんな会社を受けてたくさんの社会人の方と出会いましたが、一番「一緒に働きたい」と思ったのはこのオジュウチョウさんだったかもしれません。

そのあともメールで追加の質問に答えてくれたり、ES(エントリーシート)の添削をしてくれたりと、マジでいい人でした。この出会い以来、週末になると競馬民がこぞって行う「今週こそJRA潰す」類いのツイートを一切しなくなりました。(実話)

エントリーシート

JRAでも就職試験の第一歩はESの提出です。
JRAのESは基本的にベタです。私が受けたときは、

・長所と短所
・これまでに最も力を入れたこと
・好きなものを一つ選んでPR(除く競馬)
・JRAの志望理由
・これからの競馬をどうしていきたいか、そのためにJRAがすべきこと


こんな感じでした。
JRAはESではほぼ落ちないので、正直何書いても受かるとは思いますが、最も力を入れたことの欄に「馬券購入」と書くのだけはやめた方がいいと思います。(たとえそれが事実だとしても

筆記試験

ESが通過すると、次は筆記試験です。SCOAという種類のやつです。
ここで3割~4割落ちるみたいですが、勉強すれば普通に通ると思います。
私はWINS梅田のエクセルフロアで受験しました。後にも先にもWINSのエクセルフロアに入ったのはこのときだけです。

一次面接

筆記試験に通ると、次は一次面接です。
20代後半くらいの男性職員と、一対一の面接でした。時間は15分くらい?あまり長くなかった記憶です。
一次面接らしくESに沿った質問しか来ないので、落ち着いて受け答えできれば問題ないかなと思います。
ちなみに平日の京都競馬場で受けました。後にも先にも平日に競馬場に行ったのは(以下略)

二次面接

一次面接を通過すると二次面接になります。平日の京都競馬場でしたかね(早速来とるやないか)
30代半ばくらいの中堅が二人と若手が一人の、三対一の面接でした。
一次と同様、基本的にESに沿って進みますが、時間が長い分深堀りもされますし、ES以外のこと(最近気になるニュースとか)も聞かれました。結構重たい雰囲気で進行しましたし、ネット上の口コミでもここが鬼門とされてますね。手ごたえはそこまでありませんでしたが、何とか通過し最終へ。



最終面接

1000人以上いた受験生も残りは約70人。
いよいよ最終面接が六本木のオフィスで行われます。過去の傾向から変わらず、筆記試験と面接の二部構成でした。
筆記試験は記述式で、第一問は「日本の現在の首相は?」でした。
(「なめとんのか!!」と思いつつ「『安倍』だっけ?『安部』だっけ?」と一瞬迷った事実は墓場まで持っていく予定です。)

問題のジャンルは、
・時事ネタ(ex.WBC2017で優勝した国は?)
・用語説明、(ex.ブロックチェーンとは何か?)
・数学(ex.次の立体の体積を求めよ)
・社会(ex.『睡蓮』の作者は?)
・競馬(ex.今年のダービー馬は?)

と多種多様です。浅く広く、高校生までで習ってきたようなことを聞いてくるので、正直対策してどうこう、という類いのものではありません。中高生時ちゃんと授業を受けていた人は自信を持って臨み、ノリと勢いで生きてきた人は悔い改めてください。

まあ自分で言うのもなんですが、僕はそれなりに勉強してそれなりにいい大学に入った身だったので、この試験に関してはかなり解けました。問題は面接ですよ。

JRAの最終面接は。1対11の個人面接でした。

JRAの最終面接は。1対11の個人面接でした。

なんということでしょう。この人数差になると1対11より1vs11の方がしっくりきますね。

人数が多いというのはネット上にも出回ってる有名な話ですし、面接の前に人事の人から「”ちょっと”人数は多いですけど、緊張しないでくださいね(苦笑)」と通知もされているわけです。
だとしても、ノックをして部屋に入ると偉そうな白髪のお爺さんから昔柔道やってたの確定なゴツいおじさんまで、バラエティ豊かなパーティがずらっと横一列に並んで私を待ち受けているのです。あがり症である私はその光景を目にした瞬間、「もっとノリと勢いで生きておけばよかった」と激しく後悔しました。

とはいえ面接自体は今まで通り非常にオーソドックな流れで、私も大きな失敗はなく受け答えすることができました。
「最後に何か質問はありますか?」と聞かれたときに「皆さんどうしてそんなに暇なんですか?」と返さなかった自分を褒めつつ、私は東京を後にしました。

電話はかかってこなかった

まあ残念ながらここで落ちてしまったので、私がJRAの職員となり、健康的に馬券を卒業し、競馬でお金を搾取する側になることはできませんでした。
敗因としては、その場の空気や運などもあるでしょうが、どこか視点が「競馬ファン」のままだったのかなと。
「競馬ファン」の視点でとどまらず、「競馬ファンを相手に仕事ををする人」の視点まで昇華させて話すことができていれば、結果も違ったものになったかもしれません。


これを読んでいる人の中にもし就活生がいれば、私を反面教師にして、是非ともJRAに入ってください。そんで私だけ払い戻し多くしてください(小声)

どうぞよろしくお願いいたします。

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